HSP（Highly Sensitive Person、繊細な人）とは、通常よりも環境やの他人の感情、内面的な刺激に対して非常に敏感な性質を持つ人のことです。
この概念は、アメリカの心理学者エレイン・アロン博士によって提唱されましたものです。
HSPの人は創造力が豊かで共感力が高く」、他人の気持ちに寄り添う能力に優れていることが多いです。
しかし、一方でストレスを感じやすく、疲れやすいという課題もあります。
HSPであることは性格の一部であり、特定の治療が必要な状態ではありませんが、自分のHSP特性を理解し、適切な環境を整えることでよりHSPの高い能力を発揮しやすくなります。
野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上のうつ病を克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
・メンタルと睡眠のYouTube登録1万人
著書
・眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
・脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
・12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」
HSPが能力を発揮するために「3つの特性」を知る
HSPの概念を提唱した心理学者エレイン・アロン博士によると、HSPは3つの特性を持っています。
感覚閾値が低い性質（LST)
- 視覚、嗅覚、聴覚、触覚などの感覚がとても敏感。
- 環境の細部に気付き、不快な刺激に対して過剰に反応します。
- 騒がしい場所や強い光に疲れやすいです。
一般的なHSPのイメージはこの「感覚閾値が低い性質」の印象があるかもしれません。
閾値（いきち）とは、感覚や反応を引き起こすのに必要な最小限の刺激のことです。
分かりやすく言うと、五感が敏感であることです。
興奮しやすい性質（EOE)
- 感情的な刺激に敏感で、高い共感力を持ちます。
- 他人の感情に影響を受けやすく、ストレスを感じやすいです。
- 感情を深く感じ、細かいことにこだわります。
感覚閾値が五感の敏感さでしたが、興奮しやすい性質とは感情による内面側の刺激です。
美的感受性が高い性質（AES)
- 芸術や美に対して深い感受性を持ちます。
- 音楽やアートに強く反応し、美しいものに引かれます。
- 豊かな内面世界を持ち、創造力に富んでいます。
HSPは芸術や音楽などクリエイティブな分野で活躍することがありますが、美的感受性が高いHSPなのだと思います。
以上の3つの特性「感覚閾値が低い性質 」「興奮しやすい性質」「美的感受性が高い性質」はHSPそれぞれによって強さが違います。
自分がどのHSP特性が強いのかを知ることで、HSPの能力発揮がしやすくなります。
では、どのようなことをしていけば、HSPが高い能力を発揮できるのでしょうか？
HSP3つの特性を点数化すると、自分の特徴が見えてくる
先ほどの「感覚閾値が低い性質 」「興奮しやすい性質」「美的感受性が高い性質」を元に、特性の強さを点数化してください。
点数づけは5段階でしてください。
5点：とても敏感
4点：かなり敏感
3点：普通
2点：やや鈍感
1点：とても鈍感
「感覚閾値の低さ」であれば五感それぞれで行うのがおすすめです。
五感の中でどれが敏感かを知ることが大事だからです。
- 視覚が敏感か？
- 嗅覚が敏感か？
- 聴覚が敏感か？
- 触覚が敏感か？
- 味覚が敏感か？
「興奮しやすい性質」は2つです。
- 内側からの感情に敏感か？
- 外側（周りの人）の感情に敏感か？
最後に「美的感受性が高い性質」の点数をつける。
点数をつけて、HSPの特性の強弱が見えるだけで、自己理解が進ます。
そして、HSPの自己理解が進むことで、HSPの高い能力を発揮しやすくなります。
ただ、HSPで悩んでいる人が多いように、HSPの高い能力は、メリットとデメリットがあります。
強みを活かせば素晴らしい成果を出しますが、敏感さからしんどさがあります。
そのため、敏感さからのしんどさをやわらげることが、HSPの能力を発揮するには大切です。
では、「感覚閾値が低い性質 」「興奮しやすい性質」「美的感受性が高い性質」それぞれの対策をお伝えします。
能力を発揮するため「五感を守る」
1. 視覚
- サングラスやブルーライトカット眼鏡を使用して、光の刺激を減らします。
- 視界をぼやかすために視力が低い場合は眼鏡を外す。
- アイマスクを使用して、休憩中や睡眠中に目を休めます。
視覚の点数が高い方は、目のケアを意識してください。
つばのある深めの帽子をかぶるのもおすすめです。
僕の場合は、視力は低いですが、メガネをあまりかけないようにしています。
敏感肌のHSPにおすすめのアイマスク
2. 嗅覚
- アロマディフューザーや香水を使用して、自分の好きな匂いで不快な匂いをマスキング。
- マスクを使用して、強い匂いを避けます。
マスキングとは、マスクをするようにやわらげることです。
今回で言うと、好きなアロマディフューザーや香水で、他の匂いをやわらげます。
匂いが苦手で「無香」が好きな方も多いかもしれませんが、無香の状況を作るのは難しいです。
好きな匂いでやわらげるといろんな場所で柔軟に対応ができるようになります。
3. 聴覚
- 耳栓やノイズキャンセリングヘッドフォンを使用して、騒音を遮断。
- リラックスできるヒーリングミュージックや自然音を小さな音で流して、周囲の雑音をマスキングします。
僕の場合は、聴覚が非常に敏感です。
寝るときやリラックスするときに扇風機をかけるなどして、他の音をマスキングするなど方法がおすすめです。
4. 触覚
- 肌触りの良い服や寝具を選びます。
- ストレスを感じたときは、心地よい触感のアイテム（例えば柔らかい布やストレスボール）を持ち歩く。
触覚の点数が高かった人は、肌触りにこだわるだけでもかなり楽になります。
リラックスしたい時は、枕を抱く、ぬいぐるみを抱くなども効果的です。
ぬいぐるみを抱くだけでも、人と触れたときと同じ愛情ホルモン「オキシトシン」が分泌されます。
5.味覚
- 水や炭酸水を持ち歩く
- 好きな紅茶や飲み物を見つける
- 食事中は味のバランスを意識する
- 口の中の味をリセットするために水や炭酸水を使う
- 気になる味が残らないように食事を工夫する
常に水か炭酸水を持ち歩いて、味覚をリセットする習慣をつけるのがおすすめです。
興奮しやすい性質への対策
1. 共感力の管理
- 他人の感情に影響されやすい場合、自分の感情を意識的に切り離す訓練を行います。例えば、深呼吸や瞑想が有効です。
心理学のACT（アクセプタンス・コミットメント・セラピー）の技術を覚えるとかなり楽です。
【寝付きが悪い】深い腹式呼吸でリラックスして、眠りませんか？
2. ストレス管理
- 定期的な運動やリラクゼーション法（ヨガ、マッサージなど）を取り入れ、心身の緊張を和らげます。
- 時間管理やタスクの分散を行い、過剰な負荷を避けるようにします。
マインドフルネスの本質「RAINメソッド」を使うと、かなり楽になります。
3. 感情の表現
- 感情を日記に書く、信頼できる人に話すなどで適切に表現し、溜め込まないようにします。
自己否定などの自責癖がある方は、セルフコンパッション（自分を思いやる心理学）のワークがおすすめです。
セルフコンパッション日記の書き方：継続する3つのコツ
美的感受性が高い性質への対策
1. 美しい環境作り
- 部屋に美しい絵や植物を飾る、美術館や自然に触れる時間を作ることで、日常的に美を感じられる環境を整えます。
ポイントは損得でものを考えずに、「気持ちよく部屋を飾る」意識が大切です。
オフィスなどの質素な環境などがストレスな場合は、デスクに好きなアイテムや写真を置くなど、自分の環境づくりを行いましょう。
2. 芸術活動
- 絵を描く、音楽を聴く、詩を書くなど、自分の感性を表現するアクティビティを取り入れます。
- アートや音楽のイベントに参加し、刺激を受ける機会を増やします。
クリエイティブな能力は仕事に直結しなくても、趣味として楽しめます。
「お金にならないから…」と考えずに、何か好きな芸術活動をしましょう。
満たされる感覚が得られて、ストレスがゆるやかになります。
3. 創造力の発揮
- クリエイティブなプロジェクト（手作りのアイテム制作、料理など）に取り組み、自分の創造力を発揮します。
- インスピレーションノートを作成し、日々のアイデアや感動したことを書き留めておきます。
YouTubeでは別の対策方法についてもお伝えしています
HSPに関するYouTubeのコメントより
本日も動画公開ありがとうございます。私もHSP気質なので確認してみましたが、外的内的EOEが5で、AESは3、LSTは0と言った感じでした。中でも、外的EOE要因としては、忙殺される仕事量で感情が振り回されることが多いのと、内的EOE要因としては、あまり胃腸が丈夫ではないせいか、ちょっとした不安やストレス、或いは食べ物で胃腸の不具合を感じやすく、それによって感情が振り回されることが多いことに対処したいですね。 行動のミニマリスト化という意味では、①仕事量を減らす。②ストレスを感じないよう少し楽観的に生きてみる。③負担の少ない食べ物にする。がやっぱり良いのでしょうかね～。
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