布団に入ってもなかなか眠れず、気づいたら深夜になっていた、そんな経験はありませんか?「入眠時不眠症」とは、布団に入ってから寝つくまでに30分以上かかる状態が頻繁に続く不眠症の一種です。特に現代では、ストレスや生活習慣の乱れが原因となり、若い世代や働き盛りの人に多く見られます。本記事では、入眠時不眠症の原因や症状、日常生活で実践できる改善方法について詳しく解説します。
野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
・YouTube「メンタルコーチしもん」登録数1.3万
著書
・眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
・脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
・12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」
入眠時不眠症とは?
「入眠時不眠症(Sleep-Onset Insomnia)」は、不眠症の一種であり、布団に入ってから眠りにつくまでに長い時間がかかる状態を指します。一般的に、30分以上経っても眠れない状態が続く場合、入眠時不眠症が疑われます。
入眠時不眠症は「一過性」のものと「慢性的なもの」に分かれ、一過性のものはストレスや環境の変化による一時的な不眠である場合が多いのに対し、慢性化した場合には3カ月以上継続して眠れない状態が続き、日常生活に支障をきたすことが増えます。
入眠時不眠症の主な症状
入眠時不眠症の症状には、次のようなものがあります:
- 布団に入っても30分以上眠れない
- 眠ろうとするほど頭が冴えてしまう
- 次の日の予定や心配ごとを考えてしまい、リラックスできない
- 入眠までに不安やイライラを感じる
- 一度眠ってしまえば途中で目覚めないが、寝つきが悪いために睡眠時間が短くなる
これらの症状により、朝に疲労感が残り、日中の集中力や作業効率が低下することがあります。症状が慢性化すると、心身の健康にも悪影響を及ぼすことがあるため、早めの対策が必要です。
入眠時不眠症の原因
入眠時不眠症にはさまざまな原因が考えられますが、主なものは以下の通りです。
1. ストレスや不安
強いストレスや不安は、自律神経の働きに影響を与え、夜になると気持ちが高ぶってしまい眠れなくなります。仕事や人間関係、家庭の悩みが原因でリラックスできず、布団に入ってからも眠る準備が整わないことが多いです。
2. 生活習慣の乱れ
不規則な生活リズムは、体内時計を狂わせ、入眠しにくくなる原因のひとつです。特に、平日と休日で寝る時間や起きる時間が異なると、体がリズムを崩してしまい、夜になっても眠くならない状態になります。また、夕方以降に長時間の昼寝をすると夜に眠れなくなることもあります。
3. 就寝前の刺激(ブルーライトなど)
スマートフォンやパソコン、テレビなどから発せられるブルーライトには、睡眠を誘発するメラトニンの分泌を抑制する働きがあります。そのため、寝る直前に画面を長時間見ていると、脳が覚醒状態になり、入眠しにくくなります。
4. カフェインやアルコールの摂取
カフェインには覚醒作用があり、アルコールには一時的に眠気を誘発する効果があるものの、睡眠の質を低下させる作用があります。これらの物質を寝る前に摂取すると、脳がリラックスできずに入眠しにくくなるため、夜のカフェインやアルコールは控える方が良いでしょう。
5. 運動不足や過度な運動
運動不足による体の疲労感が足りないと、夜になってもスムーズに眠りにつきにくくなります。反対に、激しい運動を夜遅くに行うと、アドレナリンが分泌されて脳が覚醒し、寝つきが悪くなることもあります。
睡眠に対する過度な期待や不安に要注意。
精神性理性不眠症と重なることがあるため。
睡眠の完璧主義はなくしてきましょう。
入眠時不眠症の対策法
入眠時不眠症を改善するためには、日常生活での工夫が効果的です。以下の対策を取り入れて、スムーズな入眠を目指しましょう。
1. 規則正しい生活リズムを心がける
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる習慣をつけることで、体内時計が整い、自然と眠くなる時間が安定します。休日でもできるだけ起床時間を一定にするよう心がけ、体内時計のリズムを維持しましょう。
2. 就寝前のリラックスタイムを設ける
寝る前に、心と体をリラックスさせる習慣を取り入れましょう。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、ストレッチやヨガを行う、静かな音楽を聴くといったリラックス活動は、心身の緊張を解き、スムーズな入眠をサポートします。
3. ブルーライトを避ける
寝る1~2時間前からスマートフォンやパソコン、テレビなどの使用を控えることで、ブルーライトの影響を受けにくくなります。また、ブルーライトカットの眼鏡を活用することも有効です。寝る前には、読書や日記を書くなど、リラックスできる活動に時間を充てましょう。
4. カフェインとアルコールを控える
カフェインの覚醒作用は長時間続くため、寝る6時間前からカフェインを控えるようにしましょう。また、アルコールも入眠には一時的な効果がありますが、睡眠の質を低下させやすいため、摂取量を控えたり、夜は避けるようにしましょう。
5. 適度な運動を取り入れる
日中に軽い運動を取り入れることで、体の疲労が心地よい眠りを誘発します。ウォーキングや軽いストレッチなどを行うと、体内時計が整い、夜に自然と眠気が訪れるようになります。ただし、激しい運動は夕方までに済ませるようにしましょう。
その他の入眠サポート方法
上記の対策に加えて、さらに入眠を助けるためのサポート方法を紹介します。
1. 寝室環境を整える
快適な寝室環境を整えることも、入眠時不眠症の改善につながります。寝室を暗くし、静かで快適な温度に保ちましょう。また、寝具や枕も自分に合ったものを選び、リラックスできる空間を作ることが重要です。
2. マインドフルネスや呼吸法を試す
マインドフルネスやゆっくりとした呼吸法を試してみるのも効果的です。例えば、4秒で息を吸い、4秒で吐くリズムを繰り返すことで、心身が落ち着き、リラックスした状態で入眠しやすくなります。
3. 眠れなくても無理に寝ようとしない
眠れないときに無理に寝ようとするのは逆効果です。眠れないときは一度布団から出て、リラックスできる活動をし、再び眠気が訪れるのを待つ方がスムーズに寝つけます。眠ることに対するプレッシャーを手放すことが、入眠時不眠症の改善につながります。
まとめ:入眠時不眠症を改善し、質の良い眠りを取り戻そう
入眠時不眠症は、日々の生活習慣やリラックス方法を工夫することで改善が期待できます。夜の眠りをスムーズにし、翌朝の目覚めを良くするためには、生活リズムを整え、睡眠環境を快適にすることが大切です。もしも改善が見られない場合や、不眠が慢性的に続く場合には、専門医に相談することも検討しましょう。質の良い眠りを手に入れ、日々の健康を維持していきましょう。