「もう少し考えてから始めよう」
「もう一度確認してから送ろう」
「もっと完成度を上げてから人に見せよう」
そうしているうちに、時間だけが過ぎてしまう。
完璧主義で苦しくなる原因の一つは、能力が足りないことではなく、「不完全な状態のまま行動すること」に強い抵抗を感じることです。
そのため、完璧主義をやめる方法として重要なのは、無理に「適当な人」になろうとすることではありません。
必要なのは、
不完全な状態でも、行動できる自分を育てること。
つまり、「不完全さに慣れること」です。
この記事では、完璧主義がなぜ苦しくなるのかを深く掘り下げながら、不完全さに慣れるための具体的な方法を紹介します。
完璧主義をやめられない理由は「失敗そのもの」だけではない
完璧主義の人は、単純に「きれいに仕上げたい」と考えているだけではありません。
その奥には、
- 間違えたくない
- 悪く思われたくない
- 後悔したくない
- 能力がないと思われたくない
- 自分の判断が間違っていたと認めたくない
- 失敗した自分を責めたくない
といった心理が隠れていることがあります。
たとえば、メールを送る前に何度も読み返してしまうとします。
表面的には、「誤字をなくしたい」という問題に見えます。
しかし、さらに掘り下げると、
「間違えたくない」
↓
「間違えたら評価が下がるかもしれない」
↓
「評価が下がるのが怖い」
↓
「能力がないと思われるのが怖い」
↓
「自分自身の価値まで下がったように感じる」
というところまでつながっている場合があります。
つまり、完璧主義の苦しさは、
「ミスをしたくない」という問題だけでなく、「ミスをした自分をどう受け止めるか」という問題
でもあるのです。
完璧主義で疲れるのは「100%の安心」を作ろうとするから
完璧主義で疲れる人は、行動する前に十分な安心を作ろうとします。
たとえば、
「これなら絶対大丈夫」
「間違いない」
「これ以上直すところはない」
「失敗する可能性はほとんどない」
と思えるところまで準備しようとします。
しかし、現実では100%の安心を作ることはできません。
どれだけ確認しても、
「まだ見落としがあるかもしれない」と考えることができます。
どれだけ調べても、
「もっと良い選択肢があるかもしれない」と考えられます。
どれだけ文章を直しても、
「もっと良い表現があるかもしれない」と思えます。
だから完璧を基準にすると、終了条件がなくなります。
その結果、
確認する
↓
少し安心する
↓
また不安になる
↓
もう一度確認する
というループに入りやすくなります。
完璧主義をやめるためには、このループの途中で、
「まだ少し不安だけれど、ここで終わる」という経験を増やす必要があります。
これが、不完全さに慣れる練習です。
「不完全さに慣れる」とはどういうことか
不完全さに慣れるとは、
「これで大丈夫」と完全に納得できるようになることではありません。
もっと具体的に言えば、
「もう少し確認したい」
「もう少し考えたい」
「もう少し直したい」
という感覚が残っている状態で、一度手を離せるようになることです。
たとえば、
- 80点で提出する
- 一度確認したら送信する
- 完全に考えがまとまる前に話す
- 分からないことを質問する
- 小さなミスを認める
- 間違ったら訂正する
- 少し迷っていても決める
こうした行動を繰り返します。
すると少しずつ、不完全 → 危険という感覚が、
不完全 → 必要なら修正できるという感覚に変わっていきます。
完璧主義とは不安傾向の一つのため、エクスポージャーの仕組みが役立つんですね。
完璧主義をやめる鍵は「正解する力」より「修正する力」
完璧主義では、最初から正しくやることに意識が向きます。
しかし現実では、すべてを事前に予測することはできません。
仕事でも、人間関係でも、勉強でも、人生の選択でも同じです。
実際には、
考える
↓
やってみる
↓
現実を見る
↓
修正する
↓
もう一度やる
という流れで物事は進んでいきます。
そこで重要になるのが、修正する力です。
分からなければ調べる。
間違えたら訂正する。
困ったら相談する。
方法が合わなければ変える。
選択が合わなければ方向転換する。
この対応力が育ってくると、
「絶対に間違えないようにしなければ」という緊張が少しずつ弱くなります。
なぜなら、
「間違えない自分」を信じる必要がなくなり、「間違えても対応できる自分」を信じられるようになるからです。
完璧主義をやめるための15の具体的な練習
ここからは、不完全さに慣れるために日常生活でできることを具体化します。
①80点で一度出す
完璧主義の人は、100点になるまで自分の中で仕上げようとします。
そこで、「目的を十分満たしたら一度出す」というルールを作ります。
資料なら、
- 内容が伝わる
- 大きな間違いがない
- 必要事項が入っている
この3つを満たしたら、一度共有します。
完成度を上げる必要があれば、その後で修正します。
感覚的には「80%できたら出す」ですね。
➁確認回数を決める
「間違いがないか確認する」という行動には終わりがありません。
そこで、「確認は2回まで」など、先に回数を決めます。
大切なのは、
「もう絶対大丈夫だと思ったら終了」ではなく、
「決めた回数確認したら終了」にすることです。
➂時間制限を作る
完璧主義と先延ばしは結びつきやすいものです。
調べる時間、考える時間、修正する時間に期限をつけます。
たとえば、
- 商品比較は30分
- メール作成は15分
- 情報収集は1時間
- 資料修正は30分
と決めます。
時間制限があることで、
「もっと調べれば、もっと良い答えが見つかるかもしれない」
という無限ループから抜けやすくなります。
④「完成」ではなく「着手」を目標にする
「今日中に完璧に仕上げる」
と思うと、仕事が大きく見えます。
そこで、「今日は20分だけやる」に変えます。
評価基準を、完成度から、行動したかどうかへ移します。
⑤分からないことを「分からない」と言う
不完全さに慣れるうえで効果的なのが、知らない自分を隠さない練習です。
たとえば、
「その部分が分からないので教えてください」
「そこまでは確認できていません」
「今の段階では判断できません」
と言ってみます。
分からないことを隠す必要がなくなると、完璧に見せ続ける負担が減っていきます。
⑥整理途中でも話してみる
会議や会話で、
「完全に考えがまとまってから発言しよう」
としていると、発言の機会を逃すことがあります。
そこで、
「まだ整理途中ですが、現時点ではこう考えています」
と前置きして話します。
完成していない考えを扱えるようになることも、不完全さへの耐性です。
⑦小さな間違いをすぐ訂正する
間違いが見つかったときに、
「どうしよう」
「恥ずかしい」
「なぜこんなミスをしたんだ」
と考え続けるより、
「先ほどの説明は間違っていました。訂正します」と修正します。
ここで覚えたいのは、
間違い=終了ではなく、間違い→訂正という流れです。
⑧反省を「次の行動」に変える
完璧主義では、
「なんでこんなこともできないんだ」
と自分自身を評価し続けることがあります。
これを、次回どうするかに変換します。
たとえば、
「私はだらしない」ではなく、「次回は提出前に日付を確認する」
「私はコミュニケーションが下手」ではなく、「次回は相手が話し終わってから2秒待つ」
人格ではなく、行動を見るようにします。
⑨選択肢を3つまでにする
完璧な選択を探し始めると、候補が増え続けます。
そこで、候補を3つ程度まで絞り、その中から十分良いものを選ぶという方法を使います。
「最高の選択肢を見つける」より、「必要な条件を満たすものを選ぶ」ことを優先します。
⑩「最適」ではなく「十分」を探す
完璧主義をやめるうえで重要な考え方の一つです。
「これが最高か?」ではなく、
「これは目的を十分満たしているか?」と考えます。
仕事でも買い物でも勉強でも使えます。
100点を探すのではなく、合格条件を決めるという考え方です。
⑪送った後に何度も見返さない
メールやLINEを送ったあと、
「変な文章じゃなかったかな」
「失礼だったかな」
と何度も読み返してしまう場合があります。
送ったら、一度終了します。
必要な問題が発生したときに対応します。
問題が起こる前から、頭の中で問題を解決し続けないことがポイントです。
⑫会話後の「一人反省会」に時間制限をつける
「あの言い方は変だった」
「相手はどう思っただろう」
「あれを言わなければよかった」
と会話を何度も再生する場合は、反省は10分までなど時間を決めます。
改善点があるなら一つだけ決めて終了します。
⑬一日一つ「小さな不完全」を許す
いきなり大きな失敗に慣れる必要はありません。
毎日、小さな不完全を一つ残します。
たとえば、
- メール確認を1回減らす
- 80点で提出する
- 完璧に片付いていなくても寝る
- 分からないことを一つ質問する
- 少し迷った状態で決める
- 文章を修正しすぎず投稿する
小さな経験を繰り返します。
⑭「失敗しなかったか」ではなく「修正できたか」を見る
一日の評価基準を変えます。
これまでは、「今日はミスしなかったか」だったものを、
「問題が起きたとき対応できたか」に変えます。
すると、自信の意味も変わってきます。
自信とは、「私は失敗しない」という確信ではありません。
「何かあっても、そのとき対応できる」という感覚です。
⑮不安が少し残っているところで行動する
完璧主義をやめる練習で最も重要なのがこれです。
「完全に安心できたらやる」のではなく、「少し不安だけれど、やる」を経験します。
メールなら、「もう一度確認したい」と思ったところで送信する。
資料なら、「もう少し直せる」と思ったところで共有する。
発言なら、「完全にはまとまっていない」状態で話してみる。
この経験が積み重なることで、「不完全な状態でも動ける」という感覚が育っていきます。
完璧主義で先延ばししてしまうときは「作業を小さくする」
完璧主義による先延ばしには、特徴があります。
やる気がないというより、
最初から完成形を見すぎていることがあります。
たとえばブログ記事を書く場合、「良い記事を書かなければ」と思うと重くなります。
そこで、
- タイトルだけ決める
- 見出しだけ書く
- 導入だけ書く
- 一つ目の見出しを書く
- 最後に全体を修正する
と分けます。
ポイントは、一回の行動に「完成」を要求しないこと。
一回目は粗く作る。
二回目で直す。
三回目で整える。
この方法なら、不完全なものを途中経過として扱えるようになります。
仕事で完璧主義がつらいときの考え方
仕事では、完璧主義が一見すると長所に見える場面もあります。
丁寧に確認する。
責任感を持つ。
品質を高める。
細部に気づく。
これらは有効です。
問題になるのは、必要以上に時間を使い、
成果より「間違えないこと」が目的になったときです。
仕事では、「どこまでやれば、この仕事の目的を達成できるか」という基準を先に決めると動きやすくなります。
人間関係では「どう見られるか」を完全に管理しようとしない
完璧主義は、人間関係にも現れます。
「変なことを言っていないか」
「嫌われていないか」
「失礼ではなかったか」
「もっと上手く話せたのではないか」
と考え続けます。
しかし、自分が管理できるのは、
- 何を言うか
- どう行動するか
- 間違えたときどう対応するか
- 必要ならどう謝るか
という部分です。
相手が最終的にどう受け取るかまで、完全には決められません。
そのため、
「相手に必ず良く思われること」を目標にするより、「自分ができる範囲で誠実に対応すること」を基準にする方が現実的です。
完璧主義の治し方を一言で表すなら「回復力を育てる」
完璧主義の治し方を一つの考え方にまとめるなら、
失敗しない能力を高め続けるより、失敗した後の回復力を育てることです。
人生では、
間違えることがあります。
判断を誤ることがあります。
人から否定的な反応をされることもあります。
思ったような結果が出ないこともあります。
そのたびに重要になるのは、
「なぜ完璧にできなかったのか」
と自分を責め続けることではなく、
「ここから何をすればいいか」を考えることです。
分からなければ調べる。
間違えたら訂正する。
傷ついたら休む。
必要なら相談する。
方法が悪ければ変える。
もう一度試す。
この経験が積み重なるほど、
「何も起こらないから安心」ではなく、
「何か起きても対応できるから大丈夫」という種類の安心が育っていきます。
不完全さに慣れるための「1日3問」
毎日の終わりに、次の3つだけ振り返ってみてください。
- 今日は、不完全でも始めたことがあったか?
完成度ではなく、着手できたかを見る。 - 今日は、不完全でも人に出したことがあったか?
メール、資料、発言、相談、質問などを振り返る。 - 今日は、問題が起きたあと修正できたことがあったか?
失敗の有無ではなく、対応できたかを見る。
この3問を続けると、
評価軸が、「完璧だったか」から、
「不完全な状態でも前に進めたか」へ変わっていきます。
よくある質問
完璧主義をやめるには何から始めればいいですか?
最初は、日常の小さな行動から始めます。
おすすめは、確認回数を一回減らすことです。
たとえばメールを3回確認しているなら2回にする。小さな不完全を残した状態で行動し、「必要なら後から修正できる」という経験を増やしていきます。
完璧主義で行動できないときはどうすればいいですか?
目標を「完成」から「着手」に変えます。
「資料を完成させる」ではなく、「10分だけ資料を作る」。
「ブログを書く」ではなく、「見出しを3つ作る」。
行動単位を小さくすると、開始しやすくなります。
完璧主義で疲れるのはなぜですか?
完璧を基準にすると、確認・修正・情報収集の終了条件がなくなりやすいためです。
そこで、
- 時間
- 回数
- 合格条件
を先に決めます。
「納得するまで」ではなく「30分まで」、「安心するまで」ではなく「確認2回まで」というように外側に終了条件を作ります。
失敗が怖いときはどう考えればいいですか?
「失敗しない方法」だけを考えるのではなく、
「失敗した場合、どう対応するか」まで考えます。
たとえば、
「間違えていたら訂正する」
「分からなければ聞く」
「合わなければ変更する」
と対応策を考えておくことで、失敗を「取り返しのつかない出来事」ではなく「修正可能な出来事」として扱いやすくなります。
不完全さに慣れるまで、どのくらい続ければいいですか?
回数を重ねることが重要です。
一度うまくいっただけでは、「今回はたまたま大丈夫だった」と考えることもできます。
小さな不完全を何度も経験し、
「不完全でも行動できた」
「多少問題が起きても修正できた」
という経験を積み重ねていきます。
不完全さの耐性の洞察:メンタルコーチしもん
不完全さの耐性とは「もう少し完成度を高めたい状態でも、完了できること」です。
本質は、「不確実な状態で、不安を抱えたままでも行動ができること」。
つまり、以下の3つがポイントです。
①完了できる
➁不確実な状態で行動ができる
➂不安を抱えたまま行動ができる
解決策としては、
①まずは完了を目的とする
➁小さな挑戦を繰り返す
➂ネガティブな状態でも小さく行動する
④いきなり完璧ではなく、実験を繰り返す
⑤準備を制限する
そう考えると、不完全さの耐性がある状態は
①完了主義(または十分主義)
➁挑戦を繰り返している
➂感情に左右されず行動できる
④試行錯誤を繰り返す
⑤まずは行動から始める


