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サッカー選手の就寝2時間前スマホ使用の睡眠の質の影響【2025年研究】

就寝前2時間の電子デバイス使用を5晩続けると、エリートサッカー選手の睡眠の質が低下し、認知能力と身体能力にも悪影響が出たという結果です。

特に5日目には、本来みられていた「午後のほうがパフォーマンスが高い」という傾向が失われ、反応速度、ジャンプ、反応を伴う敏捷性などで午後の成績低下が目立ちました。研究者らは、重要なトレーニングや試合の時期には、就寝前のデバイス使用を慎重に管理する必要があると結論づけています。

参考:夜間のスマートフォン使用は、エリートサッカー選手の睡眠の質と翌日のパフォーマンスを低下させる:ランダム化比較試験【2025年】
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。[ ]のメモは僕の意見・感想です】

内容の信頼性:7/10

研究方法は無作為化クロスオーバー試験で、16人全員が電子デバイス条件と対照条件の両方を経験しています。2つの条件の間には1週間の期間が設けられ、パフォーマンステストを担当する研究者には、参加者がどちらの条件なのか分からないようにする措置も取られています。食事、運動、実験環境なども可能な範囲で統一されています。

評価を7点とした理由は、論文自身が、参加者が16人と少ないこと、全員が男性エリートサッカー選手であること、睡眠評価の中心が睡眠日誌などの主観的指標であること、メラトニンコルチゾールを測定していないこと、研究期間が5日間と短いことなどを限界として挙げているためです。

※「7/10」は論文に記載された点数ではなく、指定された評価項目として、論文に書かれている研究設計と限界をもとに採点しています。

何の研究か?

寝る前に電子デバイスを2時間使用する生活を5日間続けると、エリートサッカー選手の睡眠、頭の働き、身体能力にどのような変化が起こるのかを調べた研究です。

対象はチュニジアのプロクラブに所属する男性サッカー選手16人で、平均年齢は19.75 ± 1.0歳、年齢範囲は18〜21歳でした。全員が週5回トレーニングし、8年以上のサッカー経験を持っていました。

実験では同じ選手が次の2条件を経験しました。

電子デバイス条件:20時〜22時の2時間、11インチの「Lenovo Yoga Tab 11」で動画を見る
対照条件:20時〜22時の2時間、紙の雑誌を読む
・それぞれを5晩連続で実施
・2条件の間には1週間の期間を設定

なお、論文タイトルでは「smartphone exposure」と表現されていますが、実際の実験で使用された機器として本文に記載されているのは11インチのLenovo Yoga Tab 11です。画面から測定されたブルーライトはピーク波長460 nm、50 cmの距離で強度30 μW/cm²でした。

1日目、3日目、5日目の翌日に、朝7:00〜8:30と午後17:00〜18:30の2回、反応速度や注意力、ジャンプ、敏捷性などを測定しました。睡眠時間、寝つくまでの時間、夜中に目が覚めていた時間、睡眠効率、主観的な睡眠の質なども調べています。

研究した理由は?

研究者らによると、アスリートにとって睡眠は、身体の回復だけでなく、認知能力やスポーツパフォーマンスにも重要です。

これまでにも夜間の電子デバイスやブルーライトと睡眠の関係は研究されてきましたが、研究者らは、

「何日も連続して就寝前にデバイスを使用した場合の累積的な影響」

そして、

「認知能力と身体能力の両方にどのような影響が出るのか」

さらに、

「その影響が朝と午後で変わるのか」

について十分に調べられていないとしています。

そこで、就寝前2時間のデバイス使用を5晩続け、睡眠・認知能力・身体能力をまとめて調べました。

結果はどうだったか?

評価項目結果分かりやすく言うと
総睡眠時間(TST)有意に悪化5日目は、電子デバイス条件 391.9 ± 48.9分、対照条件 518.4 ± 20.5分126.5分短かった1・3・5日目すべてで電子デバイス条件の睡眠時間が有意に短かった(P<0.01)。
入眠潜時(SOL)有意に悪化寝つくまでの時間は5日目に 36.6 ± 6.5分まで延長。対照条件は 16.8 ± 3.0分で、電子デバイス条件では約19.8分長くかかったP<0.01)。電子デバイス条件では1日目 25.3分 → 3日目 29.5分 → 5日目 36.6分と徐々に長くなった。
入眠後覚醒時間(WASO)有意に悪化眠った後に目が覚めていた時間は5日目に、電子デバイス条件 11.66 ± 1.5分、対照条件 2.5 ± 1.2分夜中に起きている時間が約9.2分長かったP<0.01)。
睡眠効率(SE)有意に悪化5日目の睡眠効率は 79.9 ± 2.3%。対照条件は 92.4 ± 1.3%で、約12.5ポイント低かったP<0.01)。つまり、ベッドに入っていても実際に眠れている割合が低下した。
主観的な睡眠の質(SSQ)有意に悪化1〜5点で評価した睡眠の質は、5日目に電子デバイス条件 2.6 ± 0.5、対照条件 4.5 ± 0.5P<0.01)。本人が感じる「よく眠れた」という感覚も大きく低下した。
日中の眠気(ESS)有意に悪化眠気のスコアは、電子デバイス条件で 1日目6.6 ± 0.7 → 3日目11.9 ± 1.1 → 5日目13.3 ± 1.5と上昇。5日目の対照条件は 6.2 ± 0.9で、3日目・5日目とも有意差があった(P<0.01)。
単純反応時間(SRT)5日目午後に有意に悪化対照条件では午後のほうが反応が速かったが、電子デバイスを5晩使用した後は逆転し、朝より午後の反応能力が低下した(P<0.01)。5日目午後は対照条件と比べても有意に悪化した。
選択反応時間(CRT)5日目午後に有意に悪化複数の選択肢から瞬時に正しい反応を選ぶ能力も、5日目には午後の成績が有意に低下。朝より午後のほうが悪くなる逆転が起きた(P<0.01)。
注意力(数字抹消テスト)有意に低下5日間の電子デバイス使用後、注意力は対照条件と比べて、朝でP<0.05、午後でP<0.01の有意な低下が確認された。通常みられていた午後の優位性も5日目には消失した。
スクワットジャンプ(SJ)5日目午後に有意に低下対照条件では午後のほうが高く跳べる傾向が5日目まで続いたが、電子デバイス条件では5日目にその傾向が消失。5日目午後のジャンプ力は対照条件より有意に低かった(P<0.01)
カウンタームーブメントジャンプ(CMJA)5日目午後に有意に低下反動を使ったジャンプでも、5日間の電子デバイス使用後は午後の成績が対照条件より有意に低下(P<0.01)。本来みられていた午後のパフォーマンス向上がなくなった。
反応を伴う敏捷性(RAT)5日目に有意に低下光の指示を見て素早く方向転換するテストでは、5日目の電子デバイス条件が対照条件より、朝でP<0.05、午後でP<0.01の有意な低下。午後の記録は電子デバイス条件 2.5 ± 0.2秒、対照条件 2.2 ± 0.2秒だった。
全体的な傾向5晩の連続使用で悪影響が強まった就寝前2時間の電子デバイス使用を5晩続けることで、睡眠時間・寝つき・睡眠効率・眠気に悪影響が生じ、認知能力や身体能力にも低下がみられた。特にパフォーマンスへの影響は午後に強く現れた

① 睡眠時間が短くなった

5日目の総睡眠時間は、

電子デバイス条件:391.9 ± 48.9分
対照条件:518.4 ± 20.5分

でした。

電子デバイス条件では、1日目、3日目、5日目のすべてで対照条件より総睡眠時間が有意に短くなっていました。(ターミディア)

② 寝つくまでの時間が長くなった

5日目に眠りにつくまでにかかった時間は、

電子デバイス条件:36.6 ± 6.5分
対照条件:16.8 ± 3.0分

でした(p < 0.01)。

電子デバイス条件では、1日目の25.3 ± 3.9分から5日目の36.6 ± 6.5分まで長くなっています。

③ 睡眠効率も低下した

5日目の睡眠効率は、

電子デバイス条件:79.9 ± 2.3%
対照条件:92.4 ± 1.3%

でした。

また、夜中に目覚めていた時間は5日目に、

電子デバイス条件:11.66 ± 1.5分
対照条件:2.5 ± 1.2分

となりました。

④ 本人が感じる睡眠の質も悪化した

1〜5点で評価した主観的な睡眠の質は、5日目に、

電子デバイス条件:2.6 ± 0.5
対照条件:4.5 ± 0.5

となりました(p < 0.01)。

日中の眠気を評価するエプワース眠気尺度も5日目には、

電子デバイス条件:13.3 ± 1.5
対照条件:6.2 ± 0.9

となり、電子デバイス条件で有意に眠気が強くなりました(p < 0.01)。

⑤ 反応速度などの認知パフォーマンスが低下した

5日間電子デバイスを使用した後には、単純反応時間と選択反応時間の午後の成績が悪化しました。

対照条件では基本的に午後のほうが朝より高いパフォーマンスを示していましたが、電子デバイスを5晩使用した後には、この時間帯による優位性が失われたり逆転したりしました。

注意力を調べるテストでも、5日目の午後には対照条件より有意な低下が確認されています。

⑥ ジャンプ力や敏捷性も低下した

5日後の午後には、電子デバイス条件で、

スクワットジャンプ:対照条件より有意に低下(p < 0.01)

カウンタームーブメントジャンプ:対照条件より有意に低下(p < 0.01)

しました。

方向を示す光に反応して動く「リアクティブ・アジリティ・テスト」でも、5日後には対照条件との差が朝でp < 0.05、午後でp < 0.01となりました。

対照条件では午後のパフォーマンスが良い傾向が維持されていましたが、電子デバイスを5晩使用した条件では、5日目になるとその傾向が確認できなくなりました。


発表者・所属機関

ナディア・ドリディ¹²、モハメド・アブデルカデル・スイッシ¹³、リム・ドリディ²⁴、ハリル・イブラヒム・ジェイラン⁵、ニコラ・ルイージ・ブラガッツィ⁶、アテフ・サレム¹、ソフィエン・フェキ¹³、モクタール・シュタラ²⁷、ベッセム・ムカウエル²、ハムディ・シュトゥル¹⁸、イスマイル・デルガー¹²、ニザール・スイッシ¹²、ヴァレンティナ・ステファニカ⁹、ピョートル・ジュミイェフスキ¹⁰、ライランド・モーガンズ¹¹。

  1. 身体活動・スポーツ・健康研究ユニット(UR18JS01)、チュニジア国立スポーツ観測所
  2. クサル・サイード高等スポーツ・体育研究所、マヌーバ大学
  3. ガフサ高等スポーツ・体育研究所、ガフサ大学
  4. 研究所(LR23JS01)「スポーツパフォーマンス、健康、社会」
  5. 体育・スポーツ教育学科、スポーツ科学部、アタテュルク大学
  6. 産業・応用数学研究室(LIAM)、数学・統計学科、ヨーク大学
  7. 研究・スポーツパフォーマンス科学センター、シャルジャ女子スポーツ
  8. スファックス高等スポーツ・体育研究所、スファックス大学
  9. 体育・スポーツ学科、科学・体育・情報学部、ブカレスト国立科学技術大学ポリテクニカ・ピテシュティ大学センター
  10. スポーツ研究所・国立研究所
  11. スポーツ・健康科学部、カーディフ・メトロポリタン大学

Dridi et al. (2026). Evening smartphone exposure impairs sleep quality and next-day performance in elite soccer players: a randomized controlled trial. Biol Sport, 43, 227–242.

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