睡眠時間や睡眠時刻の日ごとのズレが大きい人ほど、生物学的老化が進んでいることと関連していました。
具体的には、睡眠時間のばらつき、睡眠時刻の不規則さ、キャッチアップ睡眠、ソーシャルジェットラグが大きいほど、より進んだ生物学的老化と関連していました。
この研究が示したのはあくまで「関連」です。「不規則な睡眠が老化を直接引き起こした」と証明した研究ではありません。
参考:An at-home evaluation of a light intervention to mitigate sleep inertia symptoms【2023年】
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。[ ]のメモは僕の意見・感想です】
内容の信頼性:8/10
評価を高くした主な理由は、6,052人という比較的大きな集団を調べ、自己申告だけではなく加速度計から睡眠を測定していること、生物学的老化を3種類の方法で評価し、複数の要因を統計的に調整していることです。
満点ではない理由は、睡眠を規則的にする介入を行って老化の変化を追跡した研究ではないためです。この研究から言えるのは、睡眠の不規則さと生物学的老化に関連があったというところまでです。
何の研究か?
米国の「国民健康・栄養調査(NHANES)」の2011~2014年のデータを使い、成人6,052人について、日々の睡眠パターンと生物学的年齢との関連を調べた横断研究です。
研究者は、主に次のような睡眠の特徴を調べました。
- 睡眠時間のばらつき:毎日の睡眠時間がどれくらい変わるか
- 睡眠時刻の不規則さ:睡眠の中央時刻が日によってどれくらい変わるか
- キャッチアップ睡眠:不足した睡眠を別の日に長く寝て補うパターン
- ソーシャルジェットラグ:生活スケジュールによって生じる睡眠時刻のズレ
睡眠時間、睡眠効率、睡眠の中央時刻などは、4~7日間の24時間加速度計記録から算出されました。
生物学的老化については、身体の生理学的データから、
フェノエイジ(PhenoAge)
クレメラ=ドゥーバル法による生物学的年齢(KDM Biological Age)
恒常性の乱れ(Homeostatic Dysregulation)
という3つの既存アルゴリズムを使って評価しました。
研究した理由は?
これまでの睡眠研究では、「平均して何時間寝ているか」「平均的な睡眠効率はどうか」といった平均値と寿命・健康との関係が主に研究されてきました。
研究チームが注目したのは、平均値ではなく「毎日の睡眠がどれくらい変動するか」です。
そこで、睡眠時間や睡眠時刻の日々のズレと、生物学的な老化との間に関連があるのかを調べました。
結果はどうだったか?
| 睡眠の指標 | 意味 | 生物学的老化との結果 | 平均的な睡眠時間・効率・時刻をさらに調整後 |
|---|---|---|---|
| 睡眠時間のばらつき | 日によって睡眠時間がどれくらい変わるか | ばらつきが大きいほど、生物学的老化が進んでいることと有意に関連 | 有意な関連が残った3項目には含まれず |
| 睡眠時刻の不規則さ | 日によって睡眠の中央時刻がどれくらいずれるか | 不規則なほど、生物学的老化が進んでいることと有意に関連 | 有意な関連が残った |
| キャッチアップ睡眠 | 普段より長く寝て睡眠不足を補う程度 | 大きいほど、生物学的老化が進んでいることと有意に関連 | 有意な関連が残った |
| ソーシャルジェットラグ | 平日と休日などで生じる睡眠時刻のずれ | 大きいほど、生物学的老化が進んでいることと有意に関連 | 有意な関連が残った |
複数の要因を調整して分析した結果、調べた日々の睡眠変動の指標はすべて、生物学的老化と有意に関連していました。
つまり、
睡眠時間のばらつきが大きい
睡眠時刻が不規則
キャッチアップ睡眠が大きい
ソーシャルジェットラグが大きい
という人ほど、生物学的老化の指標がより進んでいる傾向が確認されました。
さらに、普段の睡眠時間、睡眠効率、睡眠の中央時刻まで統計的に調整した後でも、睡眠時刻の不規則さ、キャッチアップ睡眠、ソーシャルジェットラグと生物学的老化との有意な関連は残りました。
つまりこの研究では、「平均で何時間寝ているか」だけでは説明できない形で、睡眠の規則性そのものが生物学的老化と関連している可能性が示されています。
筆頭著者:シャオリン・ワン
オーガスタ大学ジョージア医科大学・ジョージア予防研究所/バイオテクノロジー・ゲノム医療センター。
共同著者は、ヤンヤン・シュー、シンユエ・リー、アシフフセン・マンスリ、ウィリアム・V・マッコール、ユータオ・リウ、シャオヨン・スーです。
所属機関には、オーガスタ大学ジョージア医科大学、香港城市大学データサイエンス学院、ジョージア小児病院などが含まれます。
Wang X et al. (2023). Day-to-day deviations in sleep parameters and biological aging: Findings from the NHANES 2011-2014. Sleep Health, 9(6), 940-946.


