成人の睡眠の質と不眠症に対する運動の影響:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタ分析
このシステマティックレビューとメタアナリシスは、成人の睡眠の質と不眠症に対する運動の影響を評価するために実施されました。研究の目的は、さまざまな定期的な運動(少なくとも2か月以上継続するもの)が成人の自己申告による睡眠の質および生理学的睡眠の質に与える効果を検討することでした。
野上しもん
・29年間の睡眠障害を克服
・5年以上の双極性障害とうつを克服
・上級睡眠健康指導士
・メンタル心理カウンセラー
・食生活アドバイザー
・YouTube「メンタルコーチしもん」登録数1.3万
著書
・眠れない理由を知って眠れる方法を知れば安眠
・脱・中途覚醒 “夜中に目覚める”悩みが消える
・12歳になるまでに読みたい 「子どもの睡眠」
方法
この研究は、PubMed、Embase、Web of Scienceの3つの電子データベースを用いて行われ、運動介入を受けた病的疾患のない成人を対象とする関連研究を体系的に検索しました。対象とした運動には、ウォーキングやサイクリングといった従来の身体運動と、ヨガなどの心身運動が含まれていました。睡眠の質の主観的測定には、ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)、不眠症重症度指数(ISI)、エプワース眠気スケール(ESS)が使用され、生理学的な睡眠測定にはアクティグラフィーが用いられました。すべてのメタアナリシスは、Revmanソフトウェアを使用して固定またはランダム統計モデルで実行されました。
2か月以上、ウォーキングやサイクリングなどの運動とヨガが睡眠にどのような効果を与えたかですね。
結果
22件のランダム化比較試験が分析に含まれました。全体的な解析では、運動介入が睡眠の質を有意に改善することが示されました。具体的には、運動を行った群ではPSQIスコアが-2.19、ISIスコアが-1.52、ESSスコアが-2.55と、それぞれ対照群と比較して有意に低い値を示しました。サブグループ分析では、身体運動と心身運動のいずれも主観的な睡眠の質を同程度に改善することが確認されました。特に、短期の運動介入(3か月以内)は、長期の運動介入(3か月以上)よりも睡眠の質に対する改善効果が大きいことが示唆されました。
運動による主観的な睡眠の効果があったんですね。3か月以上よりも、3か月以内のほうが高いようです。
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生理学的な睡眠の影響
生理的な睡眠に関しては、運動群と対照群で測定された睡眠効率が有意に向上しましたが、その他の睡眠パラメータ(入眠潜時、総睡眠時間、入眠後の覚醒時間)には有意な差は見られませんでした。これらの結果は、運動が主に主観的な睡眠の質に影響を与える一方で、生理的な睡眠パラメータには限定的な影響しか与えない可能性を示しています。
生理学的な睡眠。客観的な睡眠は、それほど良くなったわけでもなさそうです。実際の睡眠時間や睡眠の質よりも、運動は熟睡感があがる効果が高いんですね。
検査
この研究は、運動が成人の主観的な睡眠の質を改善する効果的な方法であることを示しています。運動は、不眠症の治療における薬物療法や認知行動療法(CBT)に対する補完的かつ追加的な治療法として有望です。特に、運動は費用対効果が高く、安全であり、広く利用可能な治療手段として推奨されます。
しかし、運動が生理的な睡眠に与える影響についてはさらに研究が必要であり、今後の研究では、より多くの試験を組み込んだ分析が求められます。また、運動の種類や介入期間に応じた効果の違いをより詳細に検討することも重要です。
逆性不眠症などの主観的な睡眠悪化に対する効果に良さそうですね。主観的な睡眠がよくなることで、認知が整って、客観的な睡眠もよくなる可能性がありそう。ただ、今回はそんな影響はなかったので、逆説性不眠症や精神生理性不眠症限定で数字が欲しいですね
結論
定期的な運動は、成人の主観的な睡眠の質と不眠症を改善する有効な方法であり、睡眠障害の軽減に寄与することが示されています。運動療法は、睡眠改善を目指す治療の一環として、広く採用されるべきです。
この研究は、主観的および生理学的な睡眠結果の両方を含む初のメタ分析研究であり、成人における運動の睡眠促進効果を包括的に評価しています。
運動は睡眠以外に良い効果ありますし、いいですね。特に現代は非活動的が原因で、疲れがたまりやすいもんですし。