「なんとなく姿勢が悪い」「腰が疲れやすい」「トレーニングの効果がいまいち感じられない」——そんな悩みの背景には、“腹圧”がうまく使えていない可能性があります。
腹圧は、体の中心を支える非常に重要な働きを持ちながら、意識しないと見落とされがちな要素です。しかし、この腹圧を正しく理解し、使えるようになるだけで、姿勢・動き・パフォーマンスは大きく変わります。
本記事では、腹圧の基本から6つのメリット、さらに「ブレーシング」と「ドローイン」という代表的な使い方の違いと実践方法まで、初心者にも分かりやすく丁寧に解説します。
腹圧(ふくあつ)とは?
腹圧とは、お腹の中(腹腔)にかかる圧力のことです。
簡単に言うと、「お腹の内側から押し広げる力」です。
腹圧は主に次の筋肉によって作られます:
- 横隔膜(呼吸で上下する膜)
- 腹筋(お腹の筋肉)
- 骨盤底筋(骨盤の底を支える筋肉)
- 背筋(背中側の支え)
これらがバランスよく働くことで、お腹の中の圧力が高まります。
腹圧の6つのメリット
腹圧は単なる筋トレのテクニックではなく、
- 体幹の安定
- 腰痛予防
- 力の発揮
- 姿勢改善
- 呼吸の質向上
といった、日常生活から運動まで幅広く役立つ重要な要素です。
① 体幹が安定し、動きがブレにくくなる
腹圧がしっかりかかると、お腹の内側から「コルセット」のように体幹が支えられます。
その結果、歩く・走る・持ち上げるといった動作で体がブレにくくなります。
特にスポーツでは、力を効率よく伝えられるようになり、パフォーマンス向上につながります。
② 腰への負担を減らし、腰痛予防になる
腹圧が弱いと、体を支える役割が腰(腰椎)に集中してしまいます。
一方、腹圧が高い状態では、腹部全体で圧を受け止めるため、腰への一点集中の負担が減ります。
そのため、
- 長時間のデスクワーク
- 重い物を持つ作業
などで起こりやすい腰痛の予防に効果的です。
③ 大きな力を安全に発揮できる
筋トレや重い荷物を持つとき、腹圧があると体が安定し、力を逃がさず使えます。
例えばスクワットやデッドリフトでは、腹圧がしっかりしていると
- フォームが崩れにくい
- ケガのリスクが下がる
- より重い重量を扱える
といったメリットがあります。
④ 姿勢が整いやすくなる
腹圧は「自然な良い姿勢」を保つための土台です。
腹圧が弱いと、
- 猫背
- 反り腰
などの崩れた姿勢になりやすくなります。
逆に腹圧があると、無理に力まなくても背骨が安定し、ラクに良い姿勢を維持できます。
⑤ 呼吸の質が良くなる
腹圧は呼吸(特に横隔膜の動き)と密接に関係しています。
腹圧を適切に使えると、
- 浅い呼吸 → 深い呼吸へ改善
- リラックスしやすくなる
- 疲れにくくなる
といった効果も期待できます。
⑥ 内臓のサポート・体の安定感向上
腹圧は内臓を適切な位置に保つ働きもあります。
これにより体の中心が安定し、「どっしりした感覚」が得られます。
腹圧のかける代表的な2つの方法
ブレーシング
お腹を膨らませて固める方法(筋トレでよく使う)
ドローイン
お腹をへこませて圧をかける方法(インナーマッスル重視)
| 項目 | ブレーシング | ドローイン |
|---|---|---|
| やり方 | お腹を膨らませて固める | お腹をへこませて引き込む |
| イメージ | 360度に押し広げる | 背骨に向かって引き寄せる |
| 主に使う筋肉 | 腹直筋・腹斜筋など(アウター寄り) | 腹横筋(インナー) |
| 腹圧の強さ | 強い(高い腹圧) | やや弱め(コントロール重視) |
| 目的 | 力を発揮・体幹固定 | 安定性・姿勢改善 |
| 向いている場面 | 筋トレ・重い物を持つとき | リハビリ・日常姿勢改善 |
| 呼吸との関係 | 一時的に止めることも多い | 呼吸を維持しながら行う |
| メリット | ・高重量でも安定・ケガ予防・パワー最大化 | ・姿勢改善・腰痛予防・インナー強化 |
| デメリット | ・慣れないと息を止めすぎる | ・力の発揮は弱め |
| 代表例 | スクワット・デッドリフト | 体幹トレ・ピラティス |
腹圧呼吸ブレーシングのやり方
① 鼻からゆっくり息を吸う
「お腹をふくらませる(胸ではなくお腹)」
まずはリラックスした姿勢で、鼻からゆっくり息を吸います。
このとき意識したいのは「胸を大きく動かさないこと」です。
ポイントは、 お腹・脇腹・背中が同時に広がる感覚
前だけでなく、横や後ろにも空気が入るイメージを持つと、自然と深い呼吸になります。
うまくできているか不安な場合は、手をお腹や脇に当てて動きを確認すると分かりやすいです。
② お腹に軽く力を入れてキープ
「お腹を360度膨らませるイメージ」
息を吸ったら、その状態を軽くキープします。ここが腹圧呼吸の重要なポイントです。👉お腹を「固める」のではなく「内側から張る」感覚
強く力む必要はなく、「風船が内側からふくらんでいる状態」をイメージすると分かりやすいです。
また、
- 前だけでなく横(脇腹)
- 背中側(腰まわり)
にも圧が広がっている感覚を持つことが大切です。
③ 口からゆっくり吐く
「 圧を抜きすぎないようにする」
次に、口からゆっくり息を吐いていきます。
このときのポイントは、 お腹の圧を一気に抜かないこと
完全に力を抜いてしまうのではなく、軽くお腹を保ったまま、じわっと空気を抜いていくイメージです。
- 「フー」と細く長く吐く
- お腹は急にへこませない
こうすることで、体幹の安定を保ちながら呼吸ができます。
腹圧呼吸ドローインのやり方
- 力みすぎない(6〜7割くらい)
- 呼吸を止めない
- 姿勢をまっすぐ保つ
① 鼻から軽く息を吸う
「お腹は自然な状態のまま」
まずはリラックスした姿勢で、軽く息を吸います。
腹圧呼吸のように大きく膨らませる必要はありません。
ポイント
- 胸でもお腹でもなく「自然な呼吸」でOK
- 力まないことが大切
② お腹をゆっくりへこませる
「 おへそを背中に近づけるイメージ」
ここがドローインの一番重要な動きです。
お腹を内側に引き込む
このとき働くのが、腹横筋です。
ポイントは:
- お腹を「薄くする」イメージ
- 前だけでなく全体的に引き締める
- 背筋は伸ばしたまま
※強くへこませすぎる必要はありません
「軽く引き込んでキープできる程度」が理想です
③ そのまま呼吸を続ける
「お腹をへこませたままキープ」
ドローインは「止める」のではなく、 呼吸しながらキープするのが重要です。
- 浅くてもOKなので呼吸を続ける
- お腹が戻らないように意識する
最初は10〜20秒程度でも十分です。
④ ゆっくり元に戻す
最後はゆっくり力を抜いて、お腹を自然な状態に戻します。
急に脱力せず、コントロールしながら戻すのがポイントです。

