忙しい現代社会の中で、私たちがついついおろそかにしがちな「睡眠」。
しかし、睡眠は単なる休息ではなく、脳と体を修復し、心身のバランスを整えるために欠かせない時間です。それにもかかわらず、「なぜ眠るのか?」「どのくらい眠ればいいのか?」といった疑問を抱える人も多いのではないでしょうか。
睡眠不足が続くと、集中力や作業効率が低下するだけでなく、健康リスクも高まることがわかっています。そこで本記事では、睡眠のメカニズムから効果的な睡眠法、睡眠をサポートするアイテムまで、科学的根拠に基づいた情報を徹底解説します。
より良い睡眠習慣を手に入れ、毎日を快適に過ごすためのヒントを見つけませんか?
睡眠とは?
睡眠は、私たちの身体と脳を休ませるために必要な自然な生理現象です。
体が休んでいる間、脳ではさまざまな処理が行われています。例えば、記憶の整理やホルモンの分泌、細胞の修復など、私たちが日中を健康的に過ごすための準備が行われているのです。
簡単に言えば、睡眠は心と体のメンテナンス時間。
質の良い睡眠を取ることで、翌日のパフォーマンスが向上し、体調も整います。
睡眠の仕組み
ツープロセスモデル
睡眠のツープロセスモデルは、睡眠と覚醒を調整するメカニズムを説明するモデルです。
- 睡眠圧(広義な意味で睡眠ドライブ)
睡眠への欲求が時間とともに増加するプロセス。
起きている時間が長くなるほど、眠気が強くなり、寝ることで解消されます。 - 体内時計
体内時計によって決まるリズムで、覚醒と睡眠のタイミングを調整します。
約24時間周期のリズムがあり、覚醒しやすい時間帯と眠くなりやすい時間帯が決まっています。
※クロノタイプ:人が持つ遺伝や環境による睡眠や覚醒のリズム
睡眠周期
「睡眠周期」とは、睡眠中に繰り返される「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」のサイクルを指します。睡眠には、浅い眠りと深い眠りが交互に訪れる特徴があり、一晩でこのサイクルが4~6回程度繰り返されます。一般的に1周期は約90分前後とされ、これはノンレム睡眠からレム睡眠に至るまでの時間を指します。
- ノンレム睡眠
ノンレム睡眠は、脳が休息している深い眠りの状態です。
眠り始めてから最初に訪れ、徐々に深くなっていきます。
レム睡眠とノンレム睡眠は90分ごとに交互に現れるため、1晩で何度もノンレム睡眠が訪れますが、最初のサイクルで最も深いノンレム睡眠が得られるのが特徴です。 - レム睡眠
レム睡眠(Rapid Eye Movement Sleep)とは、目が素早く動いている睡眠状態を指します。
レム睡眠中、体はぐったりと動かない一方で、脳は日中と同じくらい活発に動いています。
睡眠全体の約20〜25%を占め、90分周期で訪れることが特徴です。
特に朝方になるにつれ、レム睡眠の時間が長くなります。
睡眠時間の真ん中である睡眠中点あたりからレム睡眠の割合がノンレム睡眠を超えていきます。
睡眠の5つのフェーズ
入眠
寝付くまでの時間がどうであるか?
30分以内が目安です。早ければいいというものでもなく、5分以内で寝付く場合などは睡眠不足の可能性があります。
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睡眠維持(睡眠中の安定性)
安定して睡眠ができているかどうか、中途覚醒後に再入眠に時間がかかるかどうか?
夜中に目覚めている時間も30分以内が目安です。
中途覚醒が全くないを目指すなど「睡眠の完璧主義」の悪影響がでることがあります。
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起床(睡眠からの覚醒)
すっきり目覚めて、頭がボーっとしないかどうか?
頭がボーっとする場合、睡眠慣性による影響の可能性が高いです。
また、早朝覚醒は「睡眠維持の影響か、体内時計による影響か」が判断が難しくなります。
日中覚醒(日中活動期)
日中に眠気があるかどうか?集中ができるかどうか?
体内時計タイプ(クロノタイプ)の影響のあるため、眠気が睡眠不足かどうかは「眠れているときと比べないと分かりにくい」です。集中ができない、モチベーションが低いと眠気は出やすいためです。
睡眠準備(就寝前の時間)
寝る1時間前からリラックスして過ごしているかどうか?
覚醒から睡眠はON/OFFスイッチのように切り替わりません。
覚醒を切り離し(ディタッチメント)、睡眠につながげていくことが大事です。
ナイトルーティンは重要。
睡眠の重要なポイント
睡眠時間
年齢 | 推奨睡眠時間 | 許容範囲(必要に応じて適応可能な時間) |
---|---|---|
新生児(0〜3か月) | 14〜17時間 | 11〜19時間 |
乳児(4〜11か月) | 12〜15時間 | 10〜18時間 |
幼児(1〜2歳) | 11〜14時間 | 9〜16時間 |
就学前児(3〜5歳) | 10〜13時間 | 8〜14時間 |
学童(6〜13歳) | 9〜11時間 | 7〜12時間 |
ティーン(14〜17歳) | 8〜10時間 | 7〜11時間 |
若年成人(18〜25歳) | 7〜9時間 | 6〜11時間 |
成人(26〜64歳) | 7〜9時間 | 6〜10時間 |
高齢者(65歳以上) | 7〜8時間 | 5〜9時間 |
睡眠効率
睡眠効率とは、あなたの睡眠の質を測る重要な指標の一つです。
「ベッドに横になっていた時間」に対して、「実際に眠っていた時間」の割合を示します。
睡眠時間とベッド時間がどれくらい近いかが、この効率に大きく影響します。
理想的な睡眠効率は85~90%とされ、この数値を目指すことで、深い眠りと質の高い睡眠が得られる可能性が高まります。
睡眠テクニック
- ★刺激制御療法
- ★睡眠制限療法(睡眠圧縮法)
- 逆説的意図睡眠法
- ★光療法
- 就寝前のTODO日記
- 感謝日記
- 認知シャッフル睡眠法
- 米軍式睡眠法
- グラウディング睡眠法
- 漸進的筋弛緩法
- 呼吸法(リラックスによる入眠)
- ピンクノイズ・ホワイトノイズ
★はおすすめ
睡眠アイテム
アイマスク
アイマスクとは、目を覆うことで光を遮断し、快適な睡眠やリラックスをサポートするアイテムです。飛行機や新幹線などの移動中、または自宅での睡眠の質を高めるために多くの人が活用しています。
最近では、温熱機能やアロマ付きのものなど、多機能なアイマスクも登場しています。
→Mavogel アイマスク
シリコン耳栓
耳栓では、誰の耳にもフィットする形に変えられる睡眠用シリコン耳栓がおすすめです。
遮音性が-32dbと高く、通常の生活音レベルは気にならなくなります。そのため、眠るときだけではなく、起きているときの集中時間にも使えます。
→PQ 睡眠用シリコン耳栓
セラピーライト
セラピーライトとは、自然光に近い強い光を人工的に再現した照明器具です。
特に日照時間が短い冬場や、室内にこもりがちな生活環境で不足しがちな光を補うために使用されます。
昼寝
昼寝とは、日中に短時間眠ることを指します。
多くの場合、午後の早い時間帯に行われ、心身の疲労回復や集中力の向上を目的としています。昼寝には以下のような種類があります。
- パワーナップ(短時間昼寝)
10〜20分程度の短い昼寝で、脳のリフレッシュや集中力アップに最適です。
高齢者は深睡眠に入る時間がかかるため、30分以内。 - ロングナップ(長時間昼寝)
60〜90分程度の昼寝で、浅い睡眠から深い睡眠(レム睡眠)まで経験します。記憶の定着や創造力の向上に効果的ですが、寝すぎると起床後にぼんやりすることがあります。
まとめ
睡眠は、私たちの心身の健康を支える欠かせない要素です。質の良い睡眠を確保することで、日中のパフォーマンスが向上し、心と体のバランスが整います。睡眠のメカニズムを理解し、自分に合った睡眠習慣を見つけることで、快適な日々を手に入れましょう。
睡眠の質を高める工夫を取り入れ、毎日をもっと元気に過ごしてみませんか?