「長く起きていると眠くなる」のはよく知られています。
しかし、この研究では単に起きている時間だけでなく、「どの脳の部位をたくさん使ったか」によって、その後の眠気や睡眠の深さが局所的に変化するのではないかを調べました。
24時間以上眠らずに過ごしながら、言語課題または運転シミュレーター課題を続けてもらい、脳波(EEG)の変化を詳しく分析した研究です。
参考:長時間の覚醒後の覚醒脳波における局所的な経験依存的変化【2013年】
【研究や論文は、chatGPTに著作権に配慮して、要点をまとめてもらっています。[ ]のメモは僕の意見・感想です】
結論
24時間以上起き続けると、脳全体で眠気の指標となるシータ波(5~9Hz)が増加しました。
さらに、長時間行った課題によって、特定の脳領域だけでシータ波がより強く増加しました。
- オーディオブックを聞き続けた場合:左前頭部で増加
- 運転シミュレーターを続けた場合:後頭~頭頂部で増加
また、その部位では睡眠中の徐波活動(SWA:0.5~4.5Hz)も強くなっていました。
つまり、よく使った脳の部分ほど眠気が強まり、その後の睡眠もより深くなる可能性が示されました。
内容の信頼性
8.5 / 10点
理由
- 学術誌『Sleep』掲載の査読付き研究
- 健康な成人16名を対象
- 高密度脳波(High-density EEG)を使用
- 睡眠研究分野で広く使われる客観的指標を測定
一方で、
- 参加者は16名と少人数
- 健康な若年成人中心
- 不眠症患者ではない
という限界があります。
何の研究か?
長時間起き続けたときに生じる眠気が、
- 脳全体で一様に増えるのか
- 使った脳の部位ごとに増えるのか
を調べた研究です。
研究では16名の健康な参加者が、
- オーディオブックを聞く課題(AB)
- 運転シミュレーター課題(DS)
のどちらかを行いながら、24時間以上連続で覚醒しました。その間と、その後の睡眠中の脳波を測定しました。
研究した理由は?
これまでの研究では、
- 長時間の覚醒で睡眠圧が高まる
- 睡眠中の徐波活動(SWA)が増える
- 覚醒中のシータ波が増える
ことが分かっていました。
また動物実験では、起きていても脳の一部だけが睡眠のような状態になる「局所睡眠(local sleep)」が観察されていました。
そこで研究者たちは、人間でも特定の脳回路を長時間使うと、その部分だけ眠気が強くなるのではないかと考え、この研究を行いました。
結果はどうだったか?
脳全体で眠気が増加した
24時間以上起き続けると、
- 覚醒中のシータ波パワー(5~9Hz)が増加
- 主観的な眠気も増加
しました。
これは従来の研究結果と一致していました。
使った脳の部位で変化が大きくなった
課題によってシータ波の増え方が異なりました。
オーディオブック課題
オーディオブックを長時間聞いた場合、左前頭部でシータ波がより大きく増加しました。
運転シミュレーター課題
運転シミュレーターを長時間行った場合、後頭~頭頂部でシータ波がより大きく増加しました。
睡眠中にも同じ場所で変化が見られた
覚醒中にシータ波が増えた部位では、睡眠中の徐波活動(SWA)も増加しました。
つまり、
- よく使った脳領域
- 覚醒中に眠気が強くなった脳領域
- 睡眠中により深く眠った脳領域
が一致していました。
この研究から分かること
この研究では、睡眠圧は脳全体で均一に高まるだけではなく、よく使った脳の領域で特に強く高まる可能性があることが示されました。
また、長時間の知的活動や作業によって生じた脳の変化は、その後の睡眠中に局所的な深い睡眠として現れる可能性があることが示されました。
なお、この研究は脳波の変化を調べた研究であり、「どの活動が最も睡眠を深くするか」や「不眠症が改善するか」については検証していません。論文で示された範囲は、脳の使用部位と局所的な睡眠圧の関係までです。
